そんな広い大宇宙に、ぽつんと生まれてきたぼくらは、 一体何しにこの地球上にやってきたのだろうか。

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無数のチリのようなものの1つがこの地球、という仏教の宇宙観

仏のさとり、と聞いてもいま一つピンと来ないという方のために。
今日は、釈迦の説いた、仏教の宇宙観を紹介したいと思う。

今日ぼくらがすまいしている地球は
ちょうど大気中の塵のようなものだ、と釈迦は説いている。

小学校の頃、体育の時間になると、
校庭の隅っこにある、暗い体育倉庫を開けると、
太陽の光が入った瞬間、キラキラ大気中の塵が輝いて見える。

あ、きれい!、とか言うわけだが、実際は
塵だから、全くきれいなことはない。

しかし、いわばその無数の塵の1つが、地球なんだ、というのが、
釈迦の説いていること。

その地球のような世界が、千個ほど集まったのが小千世界
さしづめ、太陽系とでも言おうか。

それがさらに千個集まって中千世界
これは銀河系ということになるだろうか。

中千世界が千個集まると、こんどは大千世界
今日で言えば銀河団に近いだろう。

その大千世界が無数に集まったのが、
十方微塵世界とか、三千大千世界と仏教ではいわれ、
それがいわゆる大宇宙だと釈迦は説いた。

こんな宇宙観が、2600年前のインドで説かれていたことに、
驚きではなかろうか。

当時の人は、これを聞いて呆気にとられたのではなかろうかと思われる。

きっとあなたも知っている、古代の宇宙観

今を遡ること約500年、大航海時代に、
コロンブスが地球を一周してくると言い出した時、
みんな世界の果ては滝だと真剣に信じていたというから、
船に乗せたのは、死んでもよい奴隷や囚人たちだったらしい。

ということは、今から500年前にしてそうなのだ。

では、さらに遡って古代インドの宇宙観はどんなものだろう?

うまい言い方がなかなか思い浮かばないが、
たとえば、カレー皿のようなものを思い浮かべていただきたい。

その中央にお子様ランチのケチャップごはんのような、
こんもりごはんが載っている。
そこには、旗は立っていてもいなくても、今はどちらでもよい。

そして、そのカレー皿には、少し傾けたらこぼれてしまうくらい、
並々と、カレーがつがれていることを想像していただきたい。

小さいころ、カレーをたくさん食べたいと思って、
並々をルーをつぎ、運ぼうとしてルーをこぼしそうになった経験は
ないだろうか。

そんなように、少しでも傾けたらルーはこぼれてしまう状態だ。
そしていわば、そのごはんは陸地で、ルーが海だ。

では、その世界はどこにあるのか?

それは、三頭の象が支えているという。
いくら、象は温和な動物とはいえ、三頭が協力して静止しながら、
そんなカレー皿を支えられるとは思えない。

まあ、しかしそういうように描かれている図があるから、
昔の人はそのように想像していたのだろう。

では象はどこにいるのか?

ものすごく大きい亀の甲羅の上に乗っているらしい。
亀といっても、甲羅は決して安定できる場所じゃないから、
ものすごくバランス感覚の高い象たちだ。
きっと足の裏のグリップもきっちり効かせているのだろう。

そして、その亀は?
というと、でっかい蛇がとぐろを巻いていて、
そのとぐろの上に、亀がいる、というのだ。

ここまで言うと、もしかしたら、あなたもそんな図を見たことが
あるかもしれない。

それで、その蛇の頭部は陸地の丁度真上にあって、尻尾を噛んでいる。
その蛇の胴体をたどって、太陽が昇ったり沈んだりする、という。

では、その蛇の下は?
というと、どうもそれは空気を読んで聞かないことになっているらしい。
(ちなみに、実際の図では、それが空中に浮いているような図が描かれている)

そんな宇宙観を、みんな大まじめに信じていたのだ。

今日、そんな宇宙観を誰が信じるだろう? しかし・・・

もしあなたの隣の同僚が、
「ねえねえ、地球って平らだよね?
だって丸かったら、裏っ側の人はどうなるの?」などと、
昼休みにゴハン食べながら質問してきたらあなたはどう思うだろう。

「あ、それって、もしかして、小学校から出直ししたいってこと?」
っていう感じになっちゃうかもしれない。

それくらい、地動説は現在のぼくらには定着している。

でも、小学校で地動説が導入されるのは、実は4年生くらいからで、
3年生くらいまでは、おそらく天動説の立場で教えられる。
「太陽のうごき」などという単元があったはずだ。
その場合、ぼくらが経っている地面は平坦だ。

つまり、ぼくらの、知恵の発育に従って、
天動説から、地動説の概念を導入してゆくということだ。

今日誰でも地動説は当たり前のように信じているけれど、
実はそれを人類が知るというのは、大変な歴史があった。

ところがほぼ今日の宇宙観に近いことを、
釈迦が2600年前に説いていたという事実に、
驚かないだろうか。

そして、そんな広い大宇宙に、ぽつんと生まれてきたぼくらは、
一体何しにこの地球上にやってきたのだろうか。

あなたもふと、夜空を見上げて、
そんなことに思いをはせた時はなかっただろうか?

だとすれば、釈迦の教えはまさにその答えを与えてくれた。

釈迦が教えたことはただ1つ。それを、
「唯我独尊(ただ人間だけが、ヒトに生まれなければできない
たった1つの大事な目的が果たせるのだ)」と宣言された。