たとえ己に不利益なことでも、約束は必ず果たす。 相手に、迷惑をかけるだけでなく、己をも、傷つけるから・・・ そもそも、できない約束はしないこと。 もし、どうしてもできないとわかった時には、 丁重にお詫びをしてこそ、信用が保たれるでしょう。 『三国志』人気ナンバーワンは、やはり諸葛孔明でしょう。 種々のエピソードから、どこか人間離れしたイメージがあります。 遠征が長期化し、兵の疲弊が見えてきた時、孔明は全軍を二交代とし、 百日毎に故郷へ帰らせる制度を導入したことがありました。 ところが、兵が喜び勇んで帰り支度を終え、いよいよ約束の百日目、 敵軍急襲の知らせが入りました。 聞けばかなりの大軍、実は不穏な動きは事前に察知せられていたのですが、 幹部による交代延期の進言は、孔明によってすでに退けられていたのです。 そしてこの窮地に、この時ばかりはと再度延期を進言する幹部に対してもなお、 孔明はその信念を曲げなかったのです。 今こそ、信義を守らねばならぬ・・・ それでこそ、兵は大きな力を出すことができる・・・ 愛する彼らを1日1日指折り数えて待つ家族の心を裏切ってはならぬ・・・ 慈悲深き、使命に燃える孔明の言葉が、速かに全兵に伝えられました。 感涙にむせばぬ者はなかったでしょう。 「今こそ」と、延期を申し出た彼らに対してなお、孔明は帰還を勧めたのです。 ついに、大軍が押し寄せました。 孔明の恩を感じ、立ち上がるは今と、自ら残留した彼らの結束は、 数日にして大群を退けたと言います。 孔明の率いる軍の強さは、彼の何か特別な人間であるということよりも、 「正直」と「信義」を貫くことから生まれていた・・・ そんな人間像が浮かびます。
あなたのつらい心が、ふっとラクになるお釈迦様の智恵。
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